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August 04, 2004
中国の「反日」を読み解く
中国・重慶市などで開かれているサッカーアジア杯での、中国人観客による偏狭な「反日ナショナリズム」が注目されているので、ちょっと取り上げたいと思う。
その理由としては、マスコミによって「小泉首相の靖国参拝」とか「戦時中、日本軍による爆撃があったから」などが挙げられているが、実は、この問題はもっと根深い。何故なら、江沢民政権下での「反日･愛国教育」が、そもそもの原因であると考えられるからだ。第一、今、反日で騒いでいるのは、戦争を直接経験していない20代〜30代の若い世代ばかりだ。
1993年に��小平の後継者として国家主席に就任した江沢民主席は、翌年の94年に「愛国主義教育実施綱要」と呼ばれる要綱を制定した。この要綱は、市場経済制度の導入によって貧富の格差が生まれ、共産主義体制との矛盾が露呈してしまい、国民の共産党独裁体制への不満が高まってしまうのを逸らすのが目的であったと言われている。この「愛国主義教育」の一環として、盧溝橋の中国人民抗日戦争記念館や南京の南京虐殺館などの「反日施設」が相次いで設置され、また、教科書やメディアを通じて「愛国主義教育綱要」に即した教育が実施された。これ以降、中国政府は盛んに「歴史問題」を持ち出すようになり、日中関係が冷え込む直接の原因となった。
確かに当時は国民の不安を逸らす手段として「反日」は有効であったのかもしれないが、今日のようにグローバル化した時代では、逆に自らの首を締めることにもなりかねないことに、一部の中国の指導者たちは気づき始めている。
2002年に中国の有力なオピニオン雑誌に、馬立誠「人民日報」評論員によって「対日関係新思考・中日民間の憂い」という一つの論文が公表された。この論文の中で馬氏は、「歴史問題で日本はすでに何度も謝罪している」「もはや歴史問題を理由に対日関係を低レベルに留めておくべきではない」とし、経済関係の維持、発展のための対日改善を呼びかけた。その他にも、対日政策の改善を呼びかける論文が相次いで知識人によって発表されているが、逆に反日教育で染まってしまった中国民衆の反発を招くことになってしまっているようだ。
さてさて、来る北京での日中激突であるが、逆境にもかかわらず、ここまで勝ち登ってきた日本選手たちの活躍を、静かに応援したいと思う。
参考
■ サッカーアジア杯 中国の反日行動、大国意識と表裏(産経新聞)
■ 中国の反日教育（安部 一郎）
投稿者 blog@tsukuba : August 4, 2004 08:29 PM
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