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November 24, 2004

ゲノム敗北―知財立国日本が危ない!

ゲノム敗北―知財立国日本が危ない!
岸 宣仁
ダイヤモンド社
2004-09


by G-Tools

旅行中に、話題の本(?)を読了。結構、面白い。

この本は、ヒトゲノム解析の国際プロジェクトにおいて、何故日本の貢献度がたったの6パーセントであったのかを、関係者へのインタビューをもとに検証したものだ。
実は、日本の「ゲノム敗北」は、世界で最初にヒトゲノム解析のアイデアを思いついた日本人がいたにもかかわらず、官僚や学界における縦割り組織、横並び意識、官尊民卑、出る杭は打つ、リスクを避ける、外圧頼み、長期的視点に立った戦略の欠如・・・などなど、日本的な慣行や風土によって独創性が押しつぶされた、典型的な事例であったのだ。

この「日本の負けパターン」は、歴史上、何度も繰り返されている。
例えば、大東亜戦争における日本の敗戦も、長期的な戦略の欠如、責任の不在、陸軍官僚と海軍官僚との意思疎通の悪さ(縦割り組織、縄張り意識)などが一因であったとも言われている。また、戦後においても、長期的な視点に立つ経済戦略の欠如によって、日本は経済的敗北を喫した。
稀代の碩学、小室直樹氏は、この官僚専制の悪弊を「日本病」と称し、「病、膏肓に入る」とまで言っておられるが、「ゲノム敗北」も、まさに「日本病」の典型例だったと言えるのではないだろうか。

投稿者 blog@tsukuba : November 24, 2004 06:58 PM

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