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February 08, 2005

アナーキズム―名著でたどる日本思想入門

アナーキズム―名著でたどる日本思想入門
浅羽 通明
筑摩書房 2004-05


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この本は、アナーキズム思想の入門書ではなく、アナーキズムと関連したテキストやアニメなどを、縦横無尽に紹介する本。大杉栄からキャプテンハーロックまでと、取り上げられる話題は、実に幅広い。

ところで、保守主義者には一貫して「全体主義」(ファシズム)への嫌悪感がある。本来、自由で平等な社会を理想とする共産主義国家が、国家が権力を握るやいなや、個人の自由が抑圧されてしまうことは、歴史が証明している。アナーキズムも同様な理由から、マルクス主義、ファシズム、福祉国家に対しては非常に懐疑的である。両者を隔てるのは、必要悪としての国家権力を最小限に認めるか、あるいは全ての権力を完全否定するのかという一点にある。アナーキズムと保守主義、一見相反するようであるが、実は「紙一重」であるという指摘は、実に興味深い。

後半は、アナーキズムと個人主義について。読んでいて思ったのだが、権威というものが消失し、全ての価値を相対化してしまうネット空間というのは、十分にアナーキーな世界じゃないかと。

投稿者 blog@tsukuba : February 8, 2005 06:55 PM

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