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February 27, 2005

エレキット「TU-879R」製作記録

米田 聡 著『iPodで楽しむ組み立て真空管アンプ』とゆー本に触発されて、いきなり始まった真空管アンプ作製プロジェクト。たまたまエレキットさんの通販ページを見ていたら、改造する事無しに出力管をKT88、KT66、EC34(6CA7)に交換する事が出来るという「TU-879R」が販売中になっていたので、速攻で注文してみました。

注文から4日後、はるばる福岡からキットが届く。週末を待って、早速、製作に取りかかりました。

必要な工具

・半田ごて(15〜30W)・・・ワット数が切り替えられ、先端が平たい方が使いやすいかも。
・ヤニ入り糸はんだ・・・銀入りが良いと言われているが、今回は普通のはんだを使用
・半田ごて台
・ニッパ
・ラジオペンチ
・プラス・ドライバ
・六角レンチ(対辺1.5mm、2.5mm)
・カッターナイフ・・・コードの被覆をはがすのに使う
・油性マーカー・・・コードのマーキングに使用
・テスター・・・あると便利


箱を開けてみる。一番上にあるのが、とっても詳しい組立説明書。それを見ながら、まずは部品の確認を行う。(電子工作を行う際は、部品の種類を頭に叩き入れておく意味でも、最初に確認作業を行っておいた方が良い)
抵抗やコンデンサは、規格ごとに別の袋に入っている。この分類方法は、その後の作業でとても便利だった。(いちいち、抵抗のカラーコード表とにらめっこしないで済む)従って、部品の確認を行う際は、袋から出さずに行った方が良いだろう。

はんだ付けを始める前に、メイン基板と一体になっている小基板を切り離す。ちょっと怖い作業だが、カットラインを机の端に合わせて折り曲げるようにすると、すんなりと切り離せた。

忘れないうちに、シャーシと接触してグランドとなる部分(SG2カ所)をはんだメッキしておく。(コレを忘れると、ノイズの原因になる)

ダイオードや抵抗など、背の低い部品から取り付けて行く。水色のものは、酸化金属皮膜抵抗と言って比較的ワット数の高い規格の抵抗だ。こんな大きな抵抗は、普通の電子工作ではお目にかかれない。酸化金属皮膜抵抗は放熱のため、基板から2〜3mm浮かせて取り付ける。

ジャンパー線の取り付け。
スズメッキ線を6〜7cmに7本切り出してビニルチューブに通し、ラジオペンチを使ってコの字に曲げる。ジャンパー線は、すべて同じ長さ。(この辺りの基板設計は、さすがキット屋さん!!)

抵抗、ダイオード、ジャンパー線の取り付けが終わったところ。まだまだ、道のりは長い。

ヒューズホルダの取り付け。
最初に、ヒューズホルダを取り付ける部分の楕円形の銅箔にはんだを盛っておく。

ヒューズの両端にヒューズホルダをはめて、はんだ面から基板に取り付ける。裏側から出た爪をラジオペンチで曲げて仮止めをし、ヒューズを取り外す。ホルダを基板にしっかりとはんだ付けをしておく。ヒューズは2種類あるので、はんだ付けが終わったら、間違えないようにヒューズを取り付けておく。

ベースピンの取り付け。
12本ははんだ面から、3本は白色印刷面から取り付ける。差し込んだ後、はんだ面からはんだ付けしておく。

電解コンデンサの取り付け。
小型のものは普通に立てて取り付けるが、22μF/400V、2200μF/16Vは、写真のように半分基板に埋もれたような形で取り付けを行う。

さらに大きな100μF/400Vの電解コンデンサは、はんだ面側に寝かせるようにして両面テープで固定し、はんだ付けを行う。(なお、電解コンデンサには極性があり、それを間違えるととっても危険なので、よく確認しておこう)

FETの取り付け。
FETの足をラジオペンチで折り曲げ、スペーサーとネジで基板に固定する。EFTの足と基板のベースピンをはんだ付けしたら、FET側のネジを忘れず取り除いておく。
(注:写真は、EFTの極性が逆であることが判明。後日、新品の部品と交換しました)

真空管ソケット。
小さな9ピンが1つ、大きな8ピンが2つ。8ピンは、取り付ける向きに注意が必要。

メイン基板完成の図。

メイン基板をシールドパネルへ固定。これから、シャーシの組み立てを行うのだが、実は、こっからが一番面倒に思えた。(何せ、トランスが重い!!!)

出力トランスのコードの配線。
コード先端をラジオペンチでJ形に曲げ、基板のベースピンにひっかけてはんだ付けを行う。すぐに動いてしまうので、自閉式のピンセットで固定させてからはんだ付けを行うと楽だ。

リアパネルのターミナルの配線。
かなり込み合っているので、半田ごてが他のコードに触ってしまわないように注意しながらはんだ付けをして行く。

トランスカバー、ボトムパネル、ボリューム、真空管を取り付けて完成!


<感想>
トータルの製作時間は、途中休みを入れて約10時間。ほぼ丸一日かかりました。
基本的に、部品類はすべてプリント基板上に取り付けるようになっているので、電子工作の経験がある者ならば、わりと簡単に製作できると思います。とりわけ組み立て説明書は、ポイントを押さえて丁寧に書かれているように感じました。もちろん、真空管アンプ内は300Vを超える高電圧部があるので、十分、注意して製作に取り組む必要がありますが。

使用している真空管は、6L6GC×2、12AX7(ECC83)×1の計3本。6L6LGは赤熱したヒータが見えるが、12AX7はヒータが見えにくいため、オレンジの発光ダイオードでライトアップしています(笑)


<点火式>

スピーカーにONKYO「D-057M」、音源にiPod Photoを接続してみました。(貧弱な音響環境で恥ずかしい限り・・)普段は、サブウーハーのあるharman/kardonの2.1チャンネルアップ内蔵スピーカー「SoundSticks II」をPowerBookに接続して音楽を聴いていますので、やはり重低音の出力が物足りないような気がしますが、逆に中高音領域がとてもクリアーに聞こえるような気がします。ポップス向けの音かな?

これから、出力管を色々と取り替えて試して聞き比べてみたいと思います。


<参考文献>

iPodで楽しむ組み立て真空管アンプ
米田 聡

by G-Tools

はじめての真空管アンプ―クラフトオーディオ入門
黒川 達夫

by G-Tools

投稿者 blog@tsukuba : February 27, 2005 07:54 AM

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コメント

こんにちは。
すでに、お気づきかもしれませんが、FETが裏返しのように見えますです。ゲート-ソースがひっくり返ってしまっているので、このままで動作しているとするとFETが壊れているかも?

投稿者 sushi-k : February 28, 2005 11:28 AM

sushi-k様、ご指摘ありがとうございます。ウッカリしてました(汗)
とりあえず、これで音が鳴ってましたもので・・・。
部品の交換を検討したいと思います。

投稿者 blog@tsukuba : February 28, 2005 11:05 PM

2SK2750にはゲート保護ダイオードが入ってますので上手くすると壊れてないかもしれません(けど再利用は危険かな?)。現状ではプレート電圧がかなり低めと思いますんで、FETを交換すると今より音も良くなるはずですよ。楽しんでください!

投稿者 sushi-k : March 1, 2005 01:53 PM

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