2005-06-13
_ [event][art] 円空展@横浜そごう美術館へ行く
弓なりに曲がった木材に、そのままの曲線に沿って彫り込んだ観音菩薩。そして、荒々しく割れた木の断面を火炎に見立てた不動明王・・・これら円空上人の作ったとされる仏像たちは、どれもみな村の小さなお堂や社、あるいは庶民の家でまつられてきたものばかりだ。
円空は今から300年以上も昔、江戸時代初期の人物。生涯に12万体もの仏像を造ったと言われており、今日、約5200体が確認されている。
確かにこれらの円空仏は、大きなお手に安置されている仏像と比べれば写実性に劣るかもしれない。しかし、大寺の澄まし顔の仏像と比べれば、円空仏の方がずっと個性的で表情豊かではないか!
さらに円空仏には、「神と仏が融合」した日本人独特のコスモロジーを表現した仏像が多いのも特徴だ。姿形は如来形なのに神名が書かれていたり、逆に神像形なのに仏を表す梵字が書かれていたり。
明治政府の「神仏分離令」によって失われてしまった、江戸以前の素朴な民間信仰の形を如実に表しており、とても興味深い。(実際、神社に安置されていた仏像も多いらしい)
仏教では、「山川草木悉有仏性」(山、川、草、木、すべてに神や仏が宿っている)という教えがあるが、円空は仏像を彫ったのではなく、木の中に仏を見て掘り出そうとしていたのかもしれない。(夏目漱石『夢十夜』の中の運慶みたいにね)
参考リンク:円空連合(http://www.enku.jp/)