2005-09-14
_ [news][bio] 東大教授の論文に「根拠得られず」 大学が再実験を要請
なんか、大きな騒ぎになりつつある様子。
多比良先生はRNA研究の第一人者であり、かつてはリボザイム、現在はsiRNA関連の論文を多数出されている。しかし、多比良研の研究成果の再現性が乏しいというウワサは、リボザイム時代から有名だったり。
さて、今回、問題になっているのは、Narureに発表された何報かの論文。とりわけ、「ヒト細胞でのsiRNAによるDNA methylationの誘導と遺伝子サイレンシング」に関する論文*1が取りざたされているようだ。
これについて、この夏にヒトのDNAメチル化を否定するLETTERがNature Genetics*2に掲載された。
それにしても、ベンチャーでも活躍されている多比良研究室において「実験結果を裏付ける明確な生データの存在を確認できなかった」というのは、にわかには信じがたいが、大学などのアカデミックな研究の場では、実験データの管理は学生や研究者任せになっていたりするケースが多い。とりわけ競争が激しい研究分野では、研究室内での実験データの評価と保管のプロセスを、きちんと定めておく必要があるのかもしれない。
*1 Kawasaki H. & Taira K. Induction of DNA methylation and gene silencing by short interfering RNAs in human cells. Nature 431, 211-217(2004)
*2 Ting AH, Schuebel KE, Herman JG & Baylin SB. Short double-stranded RNA induces transcriptional gene silencing in human cancer cells in the absence of DNA methylation. Nature Genetics 37, 906 - 910 (2005)