tetraの外部記憶箱

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2008-03-20

_ [books] アレゲな人の必読書10冊

必読書リストが流行っているっぽいので、僕がこれまでに影響を受けた本を10冊だけセレクトし、リストアップしてみた。本当は、もっと取り上げたいのだけれど。

 

ガロアの生涯―神々の愛でし人 レオポルト インフェルト、市井 三郎
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群論など、純粋数学に大きな功績を残した天才数学者、エヴァリスト・ガロアの伝記。彼の理論は非常に先駆的な内容であったのだが、論文を託されたコーシーが論文を紛失してしまったり、論文を預かったフーリエが急死したりなど不運が重なり、生きている間に理解されることは無かった。そして、強烈な共和主義者だったガロアは、ますます政治活動を活発化させ、ついには21歳の若さで決闘で命を落としてしまう。ピュアで鮮烈な一生は、儚く切ない。

 

努力は報われず正義は滅びる―レゲエ数学者の人生談義【絶版】 秋山 仁
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「努力は報われず、正義は滅びる」・・・一見するとペシミスティックなメッセージと受け取られかねないが、この言葉には「されど挑戦の日々」という言葉が続く。努力すれば必ず報われるほど現実派甘くない。それでも、「報われないかもしれない努力を続け、まかり通らない正義を貫き続けよ、それこそが若者だ!」という、力強いメッセージにあふれた本だ。僕が通っていた予備校の夏期講習に秋山仁先生の講演会があり、そこでこの本を購入した。(もちろん、サイン入り!)その後も、ネガティブな気分に陥りそうになった時には、繰り返し本書を読んで勇気付けられたものだ。残念ながら絶版となってしまったみたいだけれど、十代の若い人に是非読んでもらいたい一冊である。

 

生命科学 中村 桂子
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物理工学科もしくは情報工学科志望だった僕が、生命工学志望へと進路を転換するきっかけを作ってくれた一冊。この本が書かれたのは1975年という事で、内容に関しては既に古くなってしまっている部分が多いが、高校で生物の授業を取っていなかった事もあり、生物の分子レベルでの精巧な仕組みをこの本で初めて知り、感嘆した覚えがある。分子生物学史から生命倫理・環境問題など、人文・社会科学を含めた“生命科学”全体の俯瞰が得られる点では、今でも有用じゃないかと思う。

 

博士号とる?とらない?徹底大検証!―あなたが選ぶバイオ研究人生 白楽ロックビル
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大学へ入学した当初、そのまま大学院へ進学するかどうか、また、進学するにしても修士卒で民間企業へ就職するのか、はたまた博士課程まですすんでアカデミックな世界へと足を踏み入れるのか、進路についてアレコレ悩んでいた僕に指針を与えてくれた一冊。客観的かつ豊富なデータに基づき、大学卒業後の進路について、詳細に分析がなされている。ちなみに、僕の家はとても貧乏であり(笑)、これ以上、親に経済的な負担はかけたくなかったので、博士課程への進学は断念せざるを得なかったが、一方で研究者になりたいという子供の頃からの夢も諦め切れなかった。本書を読んで熟慮した結果、僕の出した結論は、大学院へ飛び級して1年分の学費を浮かした上で修士で卒業し、民間企業の研究職になるという進路だった。おかげで、僕は「漂流博士」にならずに済んだワケですよ(笑)

 

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書) 本川 達雄
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東工大の本川達雄先生の著書。「サイズの生物学」についてかかれた本で、学生時代に読んだ。きちんとした科学的根拠があるわけではないのだろうけれど、全ての動物は一緒の内の心拍数は同じで、大きな生物ほど心拍数が遅くて長生きし、小さな生物は心拍数が早くて寿命が短いという面白い仮説が紹介されている。全ての生物は、同じ設計思想によって出来ているんだなぁ、という感想を持った。著者の本川先生は、自称“歌う生物学者”としても有名であり、アレゲ的にもとても面白い学者だ。

 

カール・セーガン 科学と悪霊を語る カール セーガン、青木 薫
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天文学者として有名なカール・セーガン博士が、UFOや超能力など、いわゆる疑似科学を、科学的な視点からバッタバッタとなぎ倒す好著(笑)

 

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫) リチャード P. ファインマン、大貫 昌子
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天才物理学者、リチャード・ファインマンの自叙伝。破天荒でイタズラ好き、好奇心の赴くまま、人生をとことん楽しむという姿勢が、とても面白い。ちなみに、ファインマン先生が、最期に口にした言葉は、「2度死ぬなんて、まっぴらだよ。全くつまんないからね(I'd hate to die twice. It's so boring.)」だったそうだ。

 

マリス博士の奇想天外な人生 キャリー マリス、福岡 伸一
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PCR法の発明によってノーベル賞を受賞したキャリー・マリス博士の自叙伝・・・と言うより、武勇伝(笑)破天荒ぶりは、ファインマン博士と相通ずるところあり。

 

二重らせん (講談社文庫) ジェームス・D・ワトソン、中村 桂子、江上 不二夫
406183715X

言わずと知れた、DNAの二重螺旋モデルを発見してノーベル賞を受賞したワトソン博士の名著。発見に至るまでの過程が、ドラマチックに描かれている。まぁ、例によってロザリンド・フランクリンの扱いは酷いですが(笑)

 

理系白書 毎日新聞科学環境部
4062117118

日本の経済発展を支える理系の冷遇っぷりについて、実際のデータに基づいて分析する。涙無しには読めませぬぅ〜!