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2008-04-13

_ [books] 山崎 隆「東京のどこに住むのが幸せか」

東京のどこに住むのが幸せか (セオリーBOOKS) 山崎 隆

東京のどこに住むのが幸せか (セオリーBOOKS)
講談社 2007-11-10
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おすすめ平均 star
star読み物としては、なかなか面白いが。。
star「不動産を買う前に立地を買い、立地を買う前に街を買う!!」

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将来、マイホームを持つか否かについて、僕はまだはっきりとしたビジョンを持ち合わせてはいない。そもそも、進学のため実家を離れて横浜で一人暮らしを始め、就職で京都へ行き、研究所配属でつくばに移住し、産総研出向で大井町に住み、そして結婚して足立区に住んだりと、この10年間あまりで転々としており、そんな事を考えられる状況にもなかった。そして、これから先も転勤があるかもしれないし、もしかしたら転職もあるかもしれない。したがって、まぁ暫くは賃貸で暮らすのが、最もリスクが少ないのではないかと思っている。

日本人は農耕民族だからだろうか、どうも土地への信仰が根強く、過度にマイホームに夢を見がちのように思う。しかし、子供ができれば広い住スペースがあって教育環境も良い物件を選びたいだろうし、子供が巣立てば地元の商店街に活気のある場所に住みたいと思うだろう。一生のうちでニーズは変化するのに、どうして定住する必要があるだろうか?体型の変化に合わせて服を着替えるように、TPOに対して住環境を合わせてゆくのが、最も合理的な選択だろう。

本書の著者も、「本来、不動産などべつにたいした代物ではない。土の上にセメントと金属と木材が積み立ててあるだけのモノである。だから、臨機応変に、借りたり、買ったり、立てたり、リフォームしたり、売ったりすれば良い。ドライに目的に合わせてそれを繰り返せばいい。そういうスマートな扱い方が財産形成の第一歩である」と言い切っており、そのドライな著者の見方に僕は共感を覚えた。

「不動産を買う前に、まず街を買え」というのが、著者の主張だ。例えば、多摩ニュータウンは、誕生したての頃は転入者も多く活気付いていたが、子供が育ち、進学または就職によって街を出てゆくようになり、今や過疎化や高齢化が始まっているそうだ。一度、街の斜陽化が始まると、スーパーマーケットなどの商業施設は逃げ出し、ようやく住宅ローンが完済した頃には、ほとんど価値の無い不動産資産が手元に残る事になる。「短期間で大規模な都市が形成されたニュータウンほど、その後の街の衰退が著しい」という法則があるそうで、現在、急激に街を形成しはじめているつくばエクスプレス沿線に関しても、注意を呼びかけてる。一方、「麻布」「広尾」「青山」といった武家屋敷に由来する歴史のある街は、教育環境や住環境は申し分無く、中古マンションでもそこそこの高値で取引されており、資産形成にも適しているのだそうだ。

著者の不動産の評価基準は、「換金性が高いこと」と「収益性が高いこと」という2点。都内55エリアを、その街の歴史と、統計的な手法を用いて評価している。しかし、必然的に導き出される答えは、庶民には手の出せない高級住宅街だったりするのだけどね・・・まぁ、やっぱりきちんと資産の基盤が形成されるまでは、社宅(または賃貸)暮らしかなぁ〜。