tetraの外部記憶箱

«前の日記(2011-03-18) 最新 次の日記(2011-03-27)» 編集
Category;

2011-03-25

_ 水道水から放射性ヨウ素を検出、家庭でできる対処方法など

東京都金町浄水場をはじめとする首都圏の浄水場において国の基準を超えるヨウ素が検出され、首都圏のスーパーやコンビニからペットボトル水がことごとく消え失せる事態となっている。

検出された放射線ヨウ素の量は、22日に210 Bq/kg、23日に190 Bq/kgであったが、昨日24日には79 Bq/kgと大きく下がっているので、おそらく、空気中に漂っていた放射性物質が雨によって降下し、浄水場に流れ入った一時的な現象と見て間違いないだろう。ただ、依然として福島原発は不安定な状態にあり、放射性物質を放出し続けているものと思われるため、今後も、天候や風向きによっては、水道水から放射性物質が検出される事態が頻発するものと考えられる。

さて、人体への影響だが、原発付近の退避圏内にある市町村(飯舘村など)を除き、現状の濃度ならば、大人が飲み続けても全く問題ないであろう。我々は常に自然被曝に晒されており、進化の過程で、それに対する防御機構もきちんと持ち合わせているのだ。

問題となるのは、成長著しい子どもたちだ。

ヨウ素は甲状腺に蓄積されるため、長らく放射性ヨウ素入りの水を飲み続けると、ちょうどその部分だけ放射線照射を受けた状態になる危険性がある。チェルノブイリ事故においても、内部被曝による小児甲状腺癌の増加が認められている。もちろん、現在の国の基準値は、かなり大きな安全域を含んだ基準であるため、短期間であれば問題ないレベルであるが、この先、福島原発の危機がいつ収束するのかが見えていないため、幼子を持つ親にとっては、気が気でないだろう。

一時、某専門家が煮沸すれば良いという誤った情報を流したが、水中のヨウ素は単体ではなくイオン状態となっていると思われる。塩水をいくら煮沸しても塩分が抜けないどころか煮詰まって塩辛くなるように、放射性ヨウ素を濃縮してしまうので逆効果だ。また、家庭用浄水器(多くは活性炭濾過)では、気休め程度にしかヨウ素は抜けないのではなかろうか。

そこで、一つ提案。小さなお子さんのいる家は、放射線量の低めの日に、水道水を冷凍保存してはいかがだろう?

今回、問題となっている放射性ヨウ素(I-131)は、ベータ線とガンマ線を出しつつ、安定なキセノンとなる。問題となるのは、エネルギーの大きなベータ線の方だ。(ガンマ線は透過力は大きいがエネルギーはずっと小さい)放射性ヨウ素がベータ線を出してキセノンになる過程をベータ崩壊と言うが、その半減期(ヨウ素が半分となる期間)は、幸いにも約8日間と短い。つまり、最初、水道水に100 Bq/kgの放射性ヨウ素が含まれていたとしても、8日後には半分の50 Bq/kg、16日後には4分の1の25 Bq/kg、一ヶ月後くらいには7 Bq/kg以下になっている計算だ。(半減期の長い放射性セシウムの問題もあるが、あっちはあまり人体に蓄積されないっぽいので、あまり問題にはならないと思われる)

ただし、水の長期保存は腐敗の危険性とも隣り合わせ。特に浄水器を通した後の水を常温に置いておくことは、放射性ヨウ素入りの水道水を飲むよりもリスキーだ。半減期の長さは温度や圧力、化学結合などには依存しないため(だからこそ、年代測定に使える!)、水道水をそのまま冷凍庫で凍らせてしまうのが、一番安全な方法かと思われる。また、ペットボトルに口いっぱい入れてしまうと、膨張によって破裂する危険性があるので、放射線量の低い日を選んで8分目くらいまで水道水を満たし、日付を書いて冷凍庫へ入れてしまおう!